会長あいさつ
会長あいさつ

会長あいさつ

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「先輩風」吹かせていますか
後輩を導き、育てる気概 いまこそ
悩み多き若年同窓と心の対話を

 コロナ禍はいつまで続くのでしょうか。
同窓の皆様の中には、これまで経験したことのない変化に見舞われ、大変なご苦労の日々を余儀なくされている方もいらっしゃると思います。衷心よりお見舞いを申し上げます。
大学同窓会も本、支部ともに、完全な形での総会が開けず、3年目を迎えました。
今年こそと思っていますが、中、高同窓会はすでに今年前半の総会の延期を決めています。

 こうした状況の中、私が心配しているのは、まず卒業間もない若年同窓生の皆さんに、同窓としての「意識づけ」をする場でもある総会を何年も開けないことの影響です。しかし、それ以上に私が気がかりなのは、このところの大学における「部活」の低迷です。先輩との交流で上下関係を学んだり、先輩の後輩を思う真情に触れたりする機会も少なくなっているのです。

 同窓としての心の絆、言わば同窓会活動の「原点」が、同級生同士の切磋琢磨、先輩との心の交流の中で獲得されるとすれば、これは見逃すわけにはいきません。

 その意味で言えば、私たちの世代は恵まれていたと思います。
卒業後のことですが、私には忘れられない二人の先輩(ともにテニス部)がいます。地元の新聞社に就職し、初めて出張取材をした長崎国体。しかも、担当したのが見たこともないヨットレース。「お前、百道浜でヨットばよう見とろうもん」というしだいです。

 本人無視のいきなりの指示はいつものこと。私に命じられたのはレースの中の「ドラマ」書き。うまく書けるはずがありません。そのとき、キャップの先輩がサラサラと目の前で手直し。帆のしなり、強風、波浪、そしてクルーの熟達のカジさばき。見違えるような原稿に仕立て直しです。デスクもニヤニヤしながら通しました。

 もう一人の先輩(電力会社)には、家族の結婚にご苦労をいただいたうえ、披露宴でもメーンのスピーチをお願いしました。その1週間前、半紙に3枚ほどの予定稿を預かりました。事実関係に間違いがないか、心配してのことです。当日、原稿なしで一言一句違わず、完璧に話し切りました。

 第一子誕生時には、自ら地元の魚市場に出かけ、立派なタイをクーラーで運び込み、慣れたマイ包丁で豪華な一鉢の盛り合わせ。小柄な先輩でした。帰り道、背中のクーラーがドでかく見えました。「世話をするならとことん」と後ろ姿に書いてあるようでした。

 ご存知のようなコロナ禍です。若者自体も交流がままならない状況です。
加えて、彼らには働き方改革のうねりが待ち構えています。米中対立の激化など、世界の政治経済の動向も予断を許しません。誰だって不安です。皆さんのそばに、先輩の「救いの手」が必要な人はいないでしょうか。

 危急の時の先輩と後輩の語らい。私はこれこそ同窓意識が芽生える大事な「動機づけ」だと思っています。若手の方から接触がない、職場で大っぴらに同窓を名乗ることに抵抗がある、など確かに実行に移しにくい事情もあるでしょう。しかし、先輩が少しだけ意識すれば、かわいい後輩がいるはずです。後輩と接するチャンスを逃さず、ぜひとも彼らの心の内に耳を傾けてもらえないでしょうか。

 私はすでに10年ほど同窓会活動に携わっています。長いことが良いとは思いませんが、心の中では先に述べた二人の先輩をはじめ多くの方々への恩返しであり、後輩への「恩送り」と肝に銘じています。この「恩送り」、Enlinkspartners代表尾中泰さん(83期、法学部)に教わりました。

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